現代の凧揚げ禁止令
江戸時代に凧揚げ禁止令が出たことはご存じでしょうか。凧揚げの呼び名がいか揚げから変わったとされる俗説でも登場しますね。
このように、凧揚げは江戸時代にも禁止された時期がありました。高く揚がる凧が時には城や街道の警備に支障をきたしたり、火事や事故の原因になったりしたためです。
そして現代でも、凧を揚げる高さには「法律」による制限があります。それが、航空法による高さ150m以上の凧揚げ禁止令です。
なぜ現代の凧揚げには高さ制限があるの?
江戸時代とは違い、現代の凧揚げ禁止令は主に航空機の安全を守るために設けられています。凧が地上から150m以上の高さに達すると、飛行機やヘリコプターなどが飛行する空域に近づき、接触のリスクが高まるのです。特に空港付近では航空機が低空で飛行することが多く、凧が空に浮かんでいると非常に危険です。
このため、航空法では「地上から150m以上の高さで凧を揚げる際には国土交通大臣の許可が必要」と規定しています。この規制は、凧揚げだけでなく、ドローンや気球などを飛ばす際にも適用されます。
凧が揚がる高さってどれくらい?
一般的な凧揚げでは、凧が地上からおよそ30メートルから100メートルの高さまで上がるのが通常です。
レジャーとして楽しむ分には150メートルを超えることはあまりありませんが、もし凧糸が150m以上の長さの場合は気を付けておくといいでしょう。凧を揚げる際には、その高さにも意識を向けることが大切です。
150m以上で凧を揚げたい場合はどうすればいいの?
150mを超える高さでどうしても凧を揚げたい場合は、国土交通省の許可を得ることで可能です。具体的には以下の手続きが必要になります。
- 飛行計画書の提出
凧を揚げる日時や場所、高さなどの情報を「飛行計画書」として国土交通省に提出します。 - 周囲の安全確認
飛行計画書と一緒に、凧が周辺の航空機運行に影響を与えないことを証明する必要があります。 - 数週間の申請期間
許可が下りるまでには数週間を要することがあるため、イベントなどで高く凧を揚げる場合は早めの準備が求められます。
ここまでして凧を揚げたいという個人の方はいらっしゃるのでしょうか。
150m以下なら大丈夫?安全に楽しむためのポイント
「150m以内なら好きに揚げていいの?」と思うかもしれませんが、安全に楽しむためには他にも注意が必要です。
風速に注意する:強風の中では、凧が思いのほか高く舞い上がることがあります。風速が強い日は控えるのが安全です。
場所を選ぶ:電線や建物の近くでは、凧が絡まると感電や停電の原因になるため、開けた場所を選ぶのが安心です。
周囲への配慮:凧揚げのエリアには他の人もいることが多いため、衝突を避けるための配慮も大切です。
江戸時代に凧揚げ禁止令が出された背景には、防犯や火災の防止がありました。しかし、現代の凧揚げ禁止令は、航空機の安全確保という新しい理由によって制限されています。どちらも、ただ楽しむだけでなく周囲の安全に配慮する必要があることを教えてくれる例です。
まとめ
江戸時代から続く凧揚げの文化も、時代とともにルールが変わりました。現代では航空法によって、高さ150m以上での凧揚げに許可が必要とされています。安全に凧揚げを楽しむためには、このような法律の知識も知っておくことが大切です。
ぜひ、風の強さや場所に配慮しながら、安全に凧揚げを楽しんでくださいね。